吸水率が非常に低く、硬くて丈夫なタイルです。耐凍害性があるため、屋外や水回りにも適しています。表面が緻密で汚れがつきにくく、長期間美しさを保てます。床・壁ともに使用でき、商業施設や住宅など幅広い用途に対応します。
名称 | 磁器質タイル |
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大分類 | セラミック・タイル |
小分類 | タイル |
特徴 | 粘土や長石などを高温(約1,200〜1,300℃)で焼成した硬質なセラミック素材。吸水率が非常に低く、緻密な構造をもつ |
肌目 | 非常になめらかで硬く、ツヤのある光沢仕上げや、マット調などさまざまな表面加工が可能。高級感がある質感 |
用途 | 主に外壁材(パネル)や内装材、床材、エントランス壁面などに使用。意匠性・耐候性・耐汚染性に優れる |
産地・メーカー | 国内外で製造。国産は岐阜県多治見市・愛知県常滑市などの美濃焼・常滑焼の産地が中心。海外ではイタリア・スペインなども有名 |
磁器質(じきしつ)タイルの概要・特徴
磁器質タイルは、石英や長石、粘土などを主成分とする原料を、約1200℃以上の非常に高い温度で焼き固めて作られるタイルです。
「陶器質タイル」や「せっ器質タイル」といった他の種類と比べて、極めて硬く、緻密な材質であることが最大の特徴です。このため、水をほとんど吸収しません(吸水率1%以下)。
色や柄、サイズ、表面の質感(光沢やマットなど)のバリエーションが非常に豊富で、石や木材、金属などを模したデザインもあり、様々な空間のイメージに合わせて選ぶことができます。
磁器質タイルのメリットとデメリット
メリット
- 非常に高い耐久性:材質が硬いため傷がつきにくく、人がよく歩く場所でも摩耗しにくいです。紫外線による色褪せもほとんどなく、長期間にわたって美観を保ちます。
- 優れた耐水性:水をほとんど吸わないため、キッチンや浴室、洗面所といった水回りに最適です。汚れも染み込みにくく、清潔な状態を維持しやすいです。
- メンテナンスが容易:汚れが染み込みにくく、表面に付着した汚れは水拭きなどで簡単に落とせます。酸やアルカリといった薬品にも強いため、洗剤を使った掃除もしやすいです。
- デザインの自由度が高い:豊富なデザインから選べるため、モダン、ナチュラル、ラグジュアリーなど、理想のインテリアイメージを実現しやすいです。
デメリット
- 足元が冷たく感じる:熱を伝えやすいため、特に冬場は素足で歩くとひんやりとした感触があります。床に用いる場合は、床暖房と組み合わせるケースも多いです。
- 硬さによる衝撃の問題:材質が硬いため、食器などを落とすと割れやすいです。また、人が転倒した際の体への衝撃もフローリングなどに比べて大きくなります。
- 目地のメンテナンス:タイル自体は汚れにくいですが、タイルとタイルの間の「目地(めじ)」は、カビや汚れが付着しやすい部分です。汚れにくい目地材を選ぶなどの対策が必要になる場合があります。
- 施工コスト:下地処理を含め、専門の職人による丁寧な施工が必要なため、フローリングなどに比べて施工費用が高くなる傾向があります。
磁器質タイルの用途
磁器質タイルは、その優れた耐久性と耐水性から、建物の内外を問わず幅広い場所で使われます。
- 屋内の床:玄関の土間、キッチン、洗面所、トイレなど、水や汚れが気になる場所の床材として非常に人気があります。リビングの床に採用すると、高級感のある空間を演出できます。
- 屋内の壁:キッチンのコンロ周り(耐火性が求められる壁)や、洗面台・トイレ周りの壁のアクセントとして使用されます。
- 屋外の床:雨風にさらされる玄関ポーチやアプローチ、バルコニー、ウッドデッキの代わりとなるタイルデッキなどに適しています。
- 外壁:耐候性が高く、紫外線による劣化も少ないため、建物の外壁材としても使用されます。重厚感と高級感のある外観をつくりだします。