亜鉛とは耐食性に優れた金属で、鉄などの金属を錆びから守る「めっき材」としてよく使われます。空気中で酸化被膜を作り、それが内部を保護するため、外壁材や屋根材としても人気です。加工性が高く、比較的安価なため、幅広い建材に利用されています。銀白色の光沢も特徴のひとつです。
名称 | 亜鉛 |
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大分類 | 金属 |
小分類 | 非鉄金属 |
特徴 | 青みがかった銀白色の金属。耐食性があり、鉄の表面にめっきすることで錆を防ぐ役割を持つ。比較的柔らかく加工しやすい。 |
肌目 | 滑らかで光沢のある表面。加工後はややくすんだグレーになることもある。経年変化により落ち着いた風合いに変化する。 |
用途 | 鉄材の防錆用メッキ(溶融亜鉛めっき)、屋根材、外壁材、雨どい、金具、フェンスなど屋外の建材として広く使用。 |
産地・メーカー | 世界的な産出国は中国、ペルー、オーストラリアなど。日本では輸入が中心だが、国内にも一部鉱山が存在(例:秋田県)。 |
亜鉛の概要・特徴
亜鉛(あえん)は、鉄の錆を防ぐためのめっき(メッキ)材料として、建築の世界で非常に重要な役割を果たしている金属です。トタン(亜鉛めっき鋼板)やガルバリウム鋼板には、この亜鉛が使われています。
最大の特徴は、鉄よりも先に錆びることで鉄本体をサビから守る「犠牲防食(ぎせいぼうしょく)」という性質です。自らが犠牲になることで、より重要な鉄材を保護します。
また、亜鉛そのものを板状にした建材も存在します。この場合、銅などと同じように、表面が酸化することで安定した保護皮膜を形成し、内部を長期間保護します。施工当初の金属光沢から、年月と共にマットで落ち着いたチャコールグレーへと変化していく、独特の経年変化も魅力です。ただし、非常に高価なため、一般の住宅で使われることは稀な高級建材です。
亜鉛のメリットとデメリット
※ここでは、亜鉛そのものを建材として使う場合のメリット・デメリットを解説します。
メリット
- 極めて高い耐久性:表面に形成される保護皮膜のおかげで、100年以上の耐久性を持つとも言われています。
- 独特の美しい意匠性:時間と共に変化する、落ち着いたマットなグレーの風合いは、他の金属にはない上品でモダンな印象を与えます。
- 優れた加工性:柔らかく加工しやすいため、複雑な形状の屋根や壁にも対応できます。
- メンテナンスフリー:塗装などのメンテナンスが不要で、長期的に見て維持管理の手間がかかりません。
デメリット
- 非常に高価:材料費・施工費ともに、ガルバリウム鋼板などとは比較にならないほど高額になります。
- 柔らかく傷がつきやすい:金属としては柔らかいため、施工時や飛来物などで傷やへこみがつきやすいです。
- 専門的な施工技術が必要:デリケートな材料のため、扱いに慣れた専門の職人でなければ施工が難しいです。
亜鉛の用途
亜鉛は、その使われ方によって用途が大きく二つに分かれます。
- めっき材料として:最も一般的で重要な用途です。鉄の防錆を目的として、トタン(亜鉛めっき鋼板)や、ガルバリウム鋼板の主成分として使われます。
- 屋根材・外壁材として:亜鉛そのものを板状にした「亜鉛板」としての用途です。美術館や公共建築、デザイン性を極めた注文住宅などで、その高い意匠性と耐久性を活かして屋根や外壁、雨樋などに採用されます。