真鍮(しんちゅう)とは、銅と亜鉛を混ぜた合金で、金色に近い美しい光沢が特徴です。加工しやすく、耐食性にも優れているため、装飾品や水回りの金具などに広く使われます。経年変化によって深みのある色合いに変わり、味わいが増す素材です。音の響きも良く、楽器の材料にも適しています。

名称真鍮
大分類金属
小分類 鉄系
特徴 銅と亜鉛の合金。一般的に銅60~70%、亜鉛30~40%程度で構成される。強度と加工性のバランスが良い。
肌目 表面は滑らかで、磨くと美しい金色の光沢が出る。経年で酸化し、落ち着いた風合いの「真鍮色」に変化する。
用途 建築金物(取手・ノブ・照明器具)、楽器(トランペットなど)、装飾品、仏具、水栓金具、精密機械部品など。
産地・メーカー 特定の産地はないが、日本では新潟県燕市などの金属加工地域で多く使われている。ヨーロッパでも装飾材として長い歴史がある。

真鍮の概要・特徴

真鍮(しんちゅう)は、銅と亜鉛を混ぜ合わせて作られた合金です。英語では「Brass(ブラス)」と呼ばれ、ブラスバンドの金管楽器に使われていることでも有名です。

大きな特徴は、美しい黄金色の輝きと、それに伴う高級感です。新品の状態では光沢がありますが、時間が経つにつれて空気や人の手に触れることで酸化し、徐々に色が深まり、アンティーク調の落ち着いた風合いに変化していく「経年変化(エイジング)」を楽しむことができる素材です。

また、比較的柔らかく加工しやすいため、デザイン性の高い複雑な形状の製品も作りやすいという特性も持っています。

真鍮のメリットとデメリット

メリット

  • 高いデザイン性:上品な黄金色の輝きは、空間に温かみと高級感を与えます。経年変化によって、新品にはない独特の味わいが生まれます。
  • 加工が容易:切削や曲げ、鋳造などがしやすいため、デザイン性の高いドアノブや照明器具など、様々な製品に加工されています。
  • 抗菌作用:主成分である銅の微量金属作用により、細菌の繁殖を抑える効果が期待できます。そのため、人がよく触れるドアノブなどにも適しています。
  • 耐久性:鉄のように腐食してボロボロになることはなく、錆びにくい性質を持っています。発生する「緑青(ろくしょう)」という錆は、内部を保護する役割も果たします。

デメリット

  • 価格が高い:主成分の銅が比較的高価な金属であるため、鉄やアルミニウム、ステンレスなどの製品に比べて価格は高くなります。
  • 変色しやすい:経年変化が魅力である一方、輝きを維持したい場合は、定期的に専用のクロスや研磨剤で磨くといった手入れが必要です。
  • 柔らかく傷がつきやすい:鉄などの硬い金属に比べると柔らかいため、衝撃で傷やへこみがつきやすいです。

真鍮の用途

真鍮は、その美しい見た目と加工のしやすさから、主に内装のアクセントとなる部分や、人が直接手に触れる部分に使われます。

  • 建具金物:ドアノブ、ドアハンドル、引き出しの取っ手、蝶番(ちょうつがい)など。
  • 照明器具:ペンダントライトやブラケットライトのソケット部分やアームなど、デザインのポイントとなる箇所。
  • 水回り部品:キッチンや洗面化粧台のデザイン性の高い水栓(蛇口)や、タオルハンガー、トイレットペーパーホルダーなど。
  • 装飾・小物:スイッチプレート、コンセントカバー、表札、インテリア小物など。