トタンとは、鉄板に亜鉛をめっきした薄い鋼板で、サビに強く軽量なのが特徴です。加工しやすく、比較的安価なため、古くから屋根や外壁に使われてきました。風雨にさらされると劣化しやすく、定期的な塗装などのメンテナンスが必要です。近年では耐久性の高いガルバリウム鋼板に置き換わることも増えています。
名称 | トタン(亜鉛めっき鋼板) |
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大分類 | 金属 |
小分類 | 鉄系 |
特徴 | 鋼板に亜鉛をめっきした金属材料。鉄の強度と亜鉛の防錆効果をあわせ持つ。 |
肌目 | 表面は銀白色でやや光沢があり、めっき特有の細かい模様(スパングル)がある。 |
用途 | 屋根材、外壁材、物置、波板、雨どい、農業用建築、仮設建築など。 |
産地・メーカー | 材料自体は工業製品で、日本全国の鉄鋼メーカーで製造されている(例:日本製鉄、JFEスチールなど)。 |
トタンの概要・特徴
トタンは、鉄の板(鋼板)に亜鉛をメッキした、非常にシンプルな構造の金属建材です。「亜鉛めっき鋼板」とも呼ばれます。
かつては、その安価さと軽さから、昭和時代の住宅の屋根や外壁、塀などに広く使われていました。しかし、現在ではより耐久性の高いガルバリウム鋼板やSGL鋼板が主流となっており、新築の住宅で採用されることはほとんどありません。
トタンの大きな特徴は、メッキ層である亜鉛が鉄よりも先に錆びることで、本体の鉄が錆びるのを遅らせる「犠牲防食(ぎせいぼうしょく)」という性質を持つことです。ただし、一度傷がついてメッキが剥がれると、そこから錆が広がりやすいという弱点があります。
トタンのメリットとデメリット
メリット
- 価格が非常に安い:他の金属系建材と比較して、材料費を大幅に抑えることができます。
- 軽量で加工しやすい:非常に軽くて薄いため、運搬や現場での切断・折り曲げといった加工が容易です。
デメリット
- 耐久性が低い:表面に傷がつくとメッキが剥がれ、そこから錆びて穴が空いてしまうことがあります。耐用年数はガルバリウム鋼板などより短いです。
- 定期的な塗装が必要:錆を防ぎ、寿命を延ばすためには、数年ごとの定期的な塗装メンテナンスが欠かせません。
- 断熱性が低い:熱を伝えやすいため、そのまま使うと夏は暑く、冬は寒くなりやすいです。
- 雨音が響きやすい:金属板なので、雨が降ると屋根や壁に当たって大きな音が出やすいです。
トタンの用途
現在、トタンが新築住宅で積極的に使われることは稀ですが、以下のような場所で今でも利用されています。
- 倉庫・物置・車庫:住居ほどの快適性を求められず、コストを最優先したい建物の屋根や壁。
- 仮設の建物:工事現場の仮囲いや、イベント用の仮設小屋など、一時的に使用するもの。
- 農業用施設:作業小屋や鶏舎など、低コストで建てたい施設。
- 古い建物の補修:既存のトタン屋根や外壁を部分的に補修する場合に、同じ材料として使われることがあります。