鋼(構造用鋼材)とは、鉄に炭素を加えて強度を高めた金属で、非常に高い強度と耐久性を持ちます。加工しやすく、溶接やボルト接合が可能なため、建物や橋などの骨組みに多く使われます。地震や風に強く、大規模な構造物にも適しています。錆びやすいため、防錆処理が必要です。
名称 | 鋼(構造用鋼材) |
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大分類 | 金属 |
小分類 | 鉄系 |
特徴 | 鉄に炭素を加えた合金で、強度と靭性に優れる。用途に応じて成分や熱処理が異なる。 |
肌目 | 均質で滑らかな金属質。加工後は光沢があり、塗装や表面処理で多様に仕上げられる。 |
用途 | 建築構造材(H形鋼、角形鋼管など)、橋梁、ビル、工場、鉄塔などの骨組みに使用。 |
産地・メーカー | 日本国内ではJFEスチール、新日鐵住金などが主要製造元。世界的には中国、韓国、アメリカなどでも生産されている。 |
鋼(構造用鋼)の概要・特徴
鋼(はがね)とは、鉄を主成分として、炭素などを加えて強度や粘り強さを人工的に高めた金属材料です。その中でも「構造用鋼」は、建物の骨格となる柱や梁などの構造部分に使うために、特に品質が厳しく管理された鋼材のことを指します。
大きな特徴は、木材に比べて圧倒的に強度が高いことです。同じ断面積であれば、はるかに大きな力に耐えることができます。
また、工場で生産される工業製品であるため、品質が均一で安定している点も特徴です。天然素材である木材のように、節があったり、一本ごとに強度が異なったりすることがありません。さらに、強い力が加わってもすぐに折れず、しなやかに変形して力を逃がす「粘り強さ(靭性:じんせい)」も持っています。
鋼(構造用鋼)のメリットとデメリット
メリット
- 高い強度と設計の自由度:非常に強いため、少ない柱や細い部材で建物を支えられます。これにより、柱の少ない広々とした空間(大スパン)や、大きな窓(大開口)をつくりやすくなります。
- 耐震性が高い:しなやかに変形して地震のエネルギーを吸収する性質があるため、耐震性に優れた建物を建てることができます。
- 品質の安定性:工業製品なので、強度や寸法にばらつきがありません。設計通りの性能を安定して発揮することができます。
- シロアリに強い:木材と違って、シロアリによる食害の心配がありません。
デメリット
- 熱に弱い:高温になると強度が急激に低下するため、火災に備えて耐火性のある材料で覆う「耐火被覆(たいかひふく)」という処理が必要になります。
- 錆びやすい:水分や空気に触れると錆びてしまいます。そのため、錆止め塗装やメッキ処理などの防錆対策が必須です。
- 熱を伝えやすい:断熱性が低く、外の暑さや寒さを伝えやすい性質があります。外壁部分などに使った場合、その部分が結露の原因(ヒートブリッジまたは熱橋)にならないよう、断熱材でしっかり覆うなどの工夫が必要です。
- コストが高い傾向:一般的に、木材に比べて材料費や加工費が高くなる傾向があります。
鋼(構造用鋼)の用途
鋼(構造用鋼)は、その高い強度と信頼性から、住宅建築の様々な場面で利用されています。
- 鉄骨造住宅の主要構造部材:鉄骨造(S造)と呼ばれる工法では、建物の骨格となる柱や梁にH形鋼や角形鋼管といった構造用鋼が使われます。
- 木造住宅での補強材:木造住宅でも、広いリビングをつくるためにスパンを飛ばしたい場合などに、木の梁の代わりに鉄骨の梁を使うことがあります。また、地震に抵抗するための筋交い(すじかい)として、鋼製の「ブレース」が用いられることもあります。
- 基礎部分:建物の土台となるコンクリート基礎と、その上の木材(土台)を緊結するための「アンカーボルト」も鋼製です。
- 鉄筋コンクリート造の鉄筋:鉄筋コンクリート造(RC造)で、コンクリートの内部に埋め込まれている「鉄筋」も鋼の一種です。コンクリートの弱点を補い、建物の強度を飛躍的に高める役割を担っています。