外壁の素材選びは、住宅の見た目や機能性、耐久性に大きく影響します。その中でも「ガルバリウム鋼板」は人気の外壁素材として知られています。
しかし、実際に採用した人の中には「後悔した」という声も聞かれるのが現実です。
この記事では、ガルバリウム鋼板外壁の特徴や選ばれる理由を解説とあわせて、後悔の事例を具体的に紹介します。
長期間使用する上でのメンテナンスや費用、後悔しないためのポイントをお伝えします。
この記事では、ガルバリウム鋼板外壁を採用すべきかどうか、自信を持って判断できるようになるはずです。
ガルバリウム鋼板外壁の特徴と選ばれる理由
ガルバリウム鋼板の特徴、メリットや、人気の理由について紹介していきます。
ガルバリウム鋼板とは?その基本的な特徴とメリット
ガルバリウム鋼板は、鋼板にアルミニウムと亜鉛を主成分とする金属素材をメッキしたものです。耐久性や軽量性に優れているのが特徴です。
- サビに強く雨風による劣化を抑制
- 加工しやすく、形状の種類が豊富
- シンプルでスタイリッシュな見た目
波状のデザインやフラットな仕上がりなど、住宅デザインや好みに合わせて柔軟に対応が可能です。シンプルな見た目も、現代的な住宅にマッチする理由の一つといえます。
また、施工が比較的簡単で、工期が短く済むため、新築はもちろんリフォームにも多く採用されています。
ガルバリウム鋼板が外壁素材として人気の理由
ガルバリウム鋼板が人気である理由の一つに、デザイン性に加えて、他の外壁素材に比べて「メンテナンス頻度が低い」点があります。
一般的な外壁材と比較すると、塗り替えや防水処理が不要な期間が長く、ランニングコストを抑えられます。そのため、長期的なコストメリットがあるとされています。
耐火性能や防水性にも優れており、自然災害が多い日本において、安心して使用できる素材です。
他の外壁素材(サイディング、モルタル、タイル)との比較
ガルバリウム鋼板は、サイディングやモルタル、タイルと比較すると、軽量で施工性に優れている点が大きな特徴です。
モルタルやタイルは重さがあるため建物への負担が大きくなりますが、ガルバリウム鋼板はその点をクリアしています。
反対に断熱性や遮音性、金属特有の「傷がつきやすい」といった特徴は他素材に比べて劣ります。
また、スタイリッシュでシンプルな外観は好みが分かれ、人によっては「倉庫みたい」という感想を持たれることも少なくありません。
これらの欠点を卑下するのではなく、それぞれの素材の特徴を理解し、住宅やライフスタイルに合った選択をすることが重要です。
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ガルバリウム鋼板外壁 7つの後悔ポイント
ガルバリウム鋼板は人気で採用する人も多いだけに、後悔したという声も少なくありません。
そこで、よくある後悔の声を紹介していきましょう。
今回紹介するのは以下の内容です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
キズ・ヘコミが目立ちやすい
ガルバリウム鋼板は薄い金属の板なので、表面のキズやヘコミが目立ちやすいです。
例えば、台風や雹(ひょう)などの自然災害で傷がついたり、硬い物がぶつかることでヘコミが発生することがあります。
へこむだけならともかく、表面の塗装やメッキ層が剥がれると、サビに繋がることもあります。
深いキズからサビが発生することがある
ガルバリウム鋼板の大きなメリットはサビに強い点ですが、表面の防護膜が破れるほど深いキズがつくと、サビが発生するリスクがあります。
1箇所にサビが生じると、そこからサビが徐々に拡大し、放置すると広範囲に拡大することも。
特に塩害のある海に近い地域や、湿度の高い環境では、こうしたトラブルが発生しやすくなります。
深いキズがついても早期に対処することで、サビの拡大は防ぐことができます。なので、定期的なチェックと適切な修繕が重要です。
断熱性・遮音性が低いと感じることがある
ガルバリウム鋼板は薄い金属素材のため、断熱性や遮音性が他の素材に比べてどうしても低くなります。
夏場は太陽光で熱され、冬場はキンキンに冷える。外的環境に影響を受けやすい外壁材といえます。
また、外部の音が伝わりやすく、外壁に当たる雨音などが室内にはいってきやすいです。大粒の雨の場合は特に音が大きくなりがちです。
このような場合は、住環境が悪化してこんなはずじゃなかったと後悔する原因となります。
この点を改善するために、断熱材が一体化されたガルバリウム鋼板を使用したり、断熱材や遮音材を上等なものにするなどの施工が必要です。
「ダサい」と感じる人もいる
昔から倉庫などは金属のトタンなどが外壁として使用されていることが多いです。そのイメージから、住宅全体の印象が倉庫のようだと感じる人もいます。
また、伝統的なデザインや木目調の外観を好む方にとっては、ガルバリウム鋼板のモダンなデザインが「無機質で冷たい」と感じられることも。周囲の景観や建物全体のデザインに合わせた選択が求められます。
色の選択によっては汚れが目立つ
白や黒など、ガルバリウム鋼板で人気のあるシンプルなカラーは汚れが目立ちやすいです。
特に、雨だれや砂埃が付着した場合、定期的な清掃をしないと外観が劣化しているように見える原因になります。
色の選択による後悔を防ぐためには、耐汚れ加工が施された製品を選ぶか、汚れの目立ちにくい中間色を選ぶのがポイントです。黒を選ぶ際にも、真っ黒ではなくチャコールグレーのような少し灰色がかった色を選ぶのがおすすめです。
一般的なサイディング外壁より価格が高い
ガルバリウム鋼板は高品質な素材であるため、材料費が一般的な窯業系サイディング外壁に比べて高くなる傾向があります。特に、独自のデザインや加工が必要な場合、コストはさらに上昇します。
予算に限りがある場合には、他の外壁素材と慎重に比較する必要があります。
業者によっては施工を断られることがある
業者によっては、外壁の素材が決められていてガルバリウムを選択できないことがあります。特に大手ハウスメーカーでは独自の外壁材を使用していて、自由に選択できない場合もあります。これは他の外壁材でも同じです。
いざ、設計の段階でガルバリウム鋼板の外壁を希望した場合でも、ハウスメーカー側が対応できない場合は公開の原因となります。
ガルバリウム外壁の耐久性とメンテナンスに関する疑問
特に劣化の面は、メンテナンスによってある程度解決できる場合があります。では、ガルバリウム鋼板の外壁がどのように劣化し、メンテナンスの手間や費用がどのくらいかかるのか見ていきましょう。
ガルバリウム外壁は20年後どうなる?長期使用時の劣化の実態
ガルバリウム鋼板外壁は、耐久性に優れている素材として知られています。しかし、実際の使用環境やメンテナンス状況によっては、20年後には劣化が目立つ場合もあります。
たとえば、沿岸部では塩害による腐食の可能性が高く、定期的な防錆処理が必要になります。また、表面塗装が劣化し、色あせが進行することで見た目に古びた印象を与えることがあります。
長期的にガルバリウム外壁を維持するためには、適切なメンテナンスと環境に合わせた対策が欠かせません。
20年後も美しい外壁を保つためのポイントとしては、以下が挙げられます。
- 定期的な目視点検を行い、塗装や防錆処理を適切に施す。
- 雨だれや汚れが目立つ場合は、高圧洗浄などで早めに清掃する。
- 施工時に、耐久性を高める加工や高品質な塗装を選ぶ。
このような対策を行えば、ガルバリウム鋼板の長所を最大限に活かしながら、長期間安心して使用することができます。
色あせ・へこみ・ボコボコは防げる?正しいメンテナンス方法
ガルバリウム鋼板外壁でよくあるトラブルとして、「色あせ」「へこみ」が挙げられます。
これらを防ぐためには、日々のメンテナンスが重要です。
特に、色あせは紫外線による塗装の劣化が原因となるため、定期的に再塗装を行うことで防ぐことができます。再塗装のタイミングは約10~15年が目安ですが、紫外線の強い地域では早めの対応が推奨されます。
また、へこみやボコボコといった物理的な損傷は、周辺環境や外的要因による場合がほとんどです。これらを防ぐには、以下のような対策が有効です。
- 落下物や衝突のリスクが高い場所には、別途保護材を取り付ける。
- 施工時に、厚みのあるガルバリウム鋼板を採用する。
- 自然災害や飛来物による損傷が起きた場合は、早めに修理を依頼する。
定期的な点検と早めの対応を行えば、大きなダメージを防ぎ、美観を長期間保つことが可能です。
メンテナンス費用の目安とコスト削減のコツ
ガルバリウム鋼板外壁のメンテナンス費用は、内容や施工面積によって異なりますが、塗装の再施工費用はおおよそ1平方メートルあたり5千~1万円程度が相場です。例えば、30坪(約100平方メートル)の住宅では、再塗装だけで80~120万円程度の費用がかかることになります(屋根なら25~50万円程度)。この費用は、元あるガルバリウム鋼板の外壁の上から再塗装する場合の価格になります。
定期的なメンテナンスを怠ると、後々の修理費用がさらに増大する可能性があります。以下のようなコツを取り入れることで、長期的なコスト削減が期待できます:
- 最初の施工時に、耐久性の高い塗料や加工を選ぶことで、再塗装の頻度を減らす。
- 定期点検を行い、小さな不具合のうちに修理を済ませる。
- 同じ業者にメンテナンスを依頼し、割引やプランを活用する。
以下に、外壁塗装に使用される主な塗料の種類ごとの特徴を表にまとめました。
塗料の種類 | 耐久年数 | 価格帯 (1㎡あたり) | 特徴 |
---|---|---|---|
アクリル塗料 | 5~7年 | 約1,000~1,800円 | 発色が良く、価格が安いが、耐久性が低いため、 現在では外壁塗装に使用されることはほとんどありません。 |
ウレタン塗料 | 7~10年 | 約1,700~2,500円 | 柔軟性があり、木部や鉄部など幅広い素材に適用可能。 シリコン塗料に比べ耐久性は劣る。 |
シリコン塗料 | 10~15年 | 約2,300~3,500円 | 耐久性と価格のバランスが良く、現在最も一般的に使用されている。 耐候性や防汚性にも優れる。 |
遮熱塗料 | 製品により異なる | シリコン塗料や フッ素塗料に+α | 太陽光を反射し、建物内部の温度上昇を抑制。 夏季の冷房費削減に効果的。 |
フッ素塗料 | 15~20年 | 約3,500~4,800円 | 高い耐久性と耐候性を持ち、汚れが付きにくい。 長期的にメンテナンス回数を減らしたい場合に適している。 |
※価格帯は目安であり、製品や施工業者によって異なる場合があります。
これらの工夫を取り入れることで、ガルバリウム外壁をコストパフォーマンスよく維持することができます。
ガルバリウム外壁で後悔しないためのポイント
では、ガルバリム鋼板を外壁に使ったデザインの家を建てる際に、どうすれば後悔しないのかポイントを解説してきましょう。
デザイン性を高める施工の工夫とアイデア
ガルバリウム鋼板外壁のデザイン性を高めるためには、素材の特徴を活かした施工方法が重要です。
たとえば、光沢感のあるフラットパネルを使用すれば、モダンで洗練された印象を与えることができます。また、木目調やマット加工を施したパネルを組み合わせることで、自然な雰囲気や温かみを演出することも可能です。
以下のようなデザインアイデアが参考になります。
- 異なる色のパネルを組み合わせて、アクセントをつける。
- 縦張りと横張りを組み合わせて、視覚的な動きを出す。
- 金属パネルと他の素材(木材やタイル、塗り壁など)を組み合わせる。
ガルバリウム鋼板は金属素材ですが、意外と木や塗り壁など自然素材との相性はよく、アクセントに加えることでとても施工前に外壁全体のイメージをシミュレーションし、住宅のデザインに合った選択をすることで、後悔を防ぐとことができます。
施工業者選びで失敗しないコツ
ガルバリウム鋼板外壁を成功させるには、信頼できる施工業者を選ぶことが欠かせません。業者によって施工技術や知識に差があるため、選び方を間違えると後悔する原因になります。以下のポイントを参考に、最適な業者を選びましょう。
- ガルバリウム鋼板の施工実績が豊富な業者を選ぶ。
- 見積もりや契約内容を詳細に確認し、不明点をクリアにする。
- 口コミやレビューを確認し、評判の良い業者を選ぶ。
- アフターメンテナンスの内容が充実しているか確認する。
慎重に業者を選ぶことで、施工後のトラブルを最小限に抑えることが可能です。
長期的なコストや価値を考えた外壁選び
外壁選びの際には、初期費用だけでなく、メンテナンス費用や長期的な価値を考慮することが重要です。たとえば、ガルバリウム鋼板外壁は、他の素材よりも初期費用が高めですが、メンテナンス頻度が少なく、長期的にはコストメリットが出やすい素材です。
先に述べた通り、塗装の種類によっても耐久性は変わってきます。高価な塗料ほど、耐久性が高い傾向があります。
また、ガルバリウム鋼板は耐久性やデザイン性の高さから、住宅の資産価値を維持しやすい点も魅力です。初期費用を節約するだけでなく、長い目で見た「トータルコスト」と「資産価値」を重視して選ぶことが、後悔しない外壁選びにつながります。
ガルバリウム鋼板外壁で後悔しないために
ガルバリウム鋼板外壁は、その耐久性やデザイン性、低メンテナンス性から、多くの住宅で採用されています。しかし、一方で「後悔した」という声があるのも事実です。今回の記事では、キズやサビ、断熱性、遮音性の課題などを取り上げ、それらを防ぐための具体的なポイントを解説しました。
後悔しないためには、自分のライフスタイルや住宅環境に合った外壁選びをすることが大切です。業者選びやデザインの工夫を怠らず、メンテナンスを適切に行うことで、ガルバリウム鋼板のメリットを最大限に活かすことができます。この記事を参考に、あなたの住まいに最適な外壁選びを実現してください。